不動産投資研究

物件の見極め方【収益編1】

物件の見極め方の整理の続き、収益編です。

 この収益編は本ブログで散発的に記載した内容の整理に近いものとなります。

積算評価

まずは、物件の積算評価の算出します。実は1棟目をサラリーマンの属性に頼って購入する場合は、積算評価がどうこうはあまり気にしなくても、オリックス銀行等で融資の打診が通る場合があります(私の場合もそうでした)。

 

ところがどっこい、積算評価は購入時より出口(売却時)に響いてきます。次の物件の購入者であるサラリーマン、もしくは法人は融資を引いて購入する事を考えると、積算評価が出ないと銀行から融資が下りず、買えない(=売れない)という事になってしまいます。

 

最近、再販物件が多いのも「買付けはしたものの、融資が下りなかった」という理由が多いです。収益性との天秤ではありますが、1棟目の購入といえど、積算評価の軽視はできません

 

私は新築アパートで積算評価が50%を切る物件は避けるようにしています。欲を言えば65%ほしいです。新築アパートだと積算評価が50%を切る物件もざらにあります。

 

積算評価が50%を切ると、積算評価で資産性を考える銀行であれば、買った瞬間に土地評価は半分になる事になります。おっそろしい事です。

 

積算評価は土地の評価額+建物の評価額となります。

 

評価額の計算方法はネットに情報が色々記載されているので、ざっくりと説明します。

 

土地の評価額

土地の住所を元に全国地価マップ(https://www.chikamap.jp/chikamap/Portal?mid=216)

で路線価を調べます。

 

路線価の種類は固定資産税路線価、相続税路線価の2種類がありますが、相続制路線価の方を参照します。

  

以下が戸塚の上倉田の相続税路線価の例です。

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上記の「×」の場所であれば、路線価は16万円となります。
末尾のアルファベットは最初は迷いましたが、借地権の土地の場合に資産評価で利用する借地割合と呼ばれているもので、所有権の土地の場合は気にする必要はありません

 

よって、計算式は

 

土地の評価額 = 路線価 × 土地の平米数 × 掛け目 

 

となります。掛け目は用途地域や土地の形状で変わってきますが、ここでは割愛します。

 

私は用途地域による掛け目は知っていたが、土地の形状での掛け目があるとは知らず、泣きを見ました。今思えば、単なる勉強不足でした。

 

 

 

建物の評価額

建物評価は

 

再調達原価 × 建物延床面積 × (耐用年数-築年数)÷ 耐用年数

 

となります。木造のアパートの場合は再調達価格は15万円、耐用年数が22年です。
※劣化対策等級2級を取得しているアパートの場合、耐用年数が30年となります。

出口(売却時)の想定を考える

収益シミュレーションをする前に、考えておくのが、出口(売却時)の想定です。

 

不動産物件は、所有すればする程、税引き後キャッシュフローが減り(ローン元金の増加による税額増加や、修繕費増加)、資産価値が減っていきます(建物の減価償却による簿価の減少)。

 

また、フルローン等で購入すると、いつかはデッドクロスが訪れるため、出口のタイミングを想定しておく事は非常に重要となります。

 

 

「物件を売却する=物件を誰かが買う」という事になるので、「誰に買ってもらえるか」という想定を元に、出口を決める必要があります。

もちろん、出口のタイミングで市況がどうなるかはわからないので、今の市況を基準として考えるしかありません。わからないから想定しない、は無謀過ぎます。

 

例えば、今の市況であれば築5年~10年の物件であれば、オリックス銀行で30年~35年の融資がおります。そのため、新築木造アパートの場合は5年~10年後の売却を見据えておけば、出口の間口は増えると考えます。

 

ただし、私の場合はフルローンでの購入を考えているため、5年だと賃料収入によるキャッシュフローが寂しいため10年保有を前提としています。

 

木造の場合は賃料は20年で15%下落するという統計が出てるようです。

出典は下記の書籍。

 

 人口減少を考えると10年後は10%下落していると考えておいた方が良いかもしれません。

 

売却時の表面利回りは以下のパターンで考えます。

  • 楽観パターン:新築時と同じ
  • 通常パターン:新築時表面利回り+1%
  • 悲観パターン:新築時表面利回り+2%

 

文字だとわかりづらいので、例として表面利回り8%、価格が6000万円の新築アパートを例にして、10年後の賃料・物件売却価格を楽観、通常、悲観のパターンで表にしてみました。

 

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売却時の利回りが1%違うだけで、600万円も売却価格が変わってきます

計算式からすると当たり前といえば当たり前なのですが「1%」という数値そのものが小さいため、こんなに物件価格で跳ね返ってくる事が最初はピンときません。

 

購入時の物件価格-出口価格の差分を10年間の賃貸収入の総額がどれだけ超える事ができるかどうかが一つの判断ポイントとなります。

 

長くなってきたので、続きは次回。収益評価編 その2へ続きます。



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