不動産投資研究

物件の見極め方【収益編2】

 前回の記事で「積算評価」「出口の想定」について記載しました。

 

 

続いては、収益シミュレーションを行います。収益シミュレーションはコアプラスの玉川陽介さんの著書「不動産投資1年目の教科書」の読者特典である収益計算エクセルを主に利用しています。

 

ブログで度々登場していますが、付録の収益計算エクセルは不動産投資を初めようとしている人や実際に物件購入を検討している人も手軽に計算ができる非常に優れたツールです。業者が出してくるフカした収益計算資料も、こちらの収益計算エクセルを利用する事で看破する事ができます。

 

収益シミュレーション

 収益計算エクセルの使い方は、以下のコアプラスのサイトに詳細説明があります。

 

様々な仲介業者さんから収益シミュレーションの資料をもらいましたが、コアプラスの収益計算エクセル以上に精度が高いシミュレーション結果は得られた事がありません。

 

草食業者さんの仲介会社が出してきた収益シミュレーションが、業者さんが出してきたシミュレーションの中では一番精度が高かったです。

 

空室率や賃料下落率、元金返済比率や建物減価償却費の経年変化、PM管理会社委託費用や月額固定費等々、ある程度のシミュレーションができていました。

ただ、どうしても業者さんの収益シミュレーションに入ってこないのが、入退去コストです。

 

一度、草食業者さんにも「入退去コストが含まれていないのでは?」と指摘しましたが、オーナーの努力次第なので、シミュレーションには含めていない、との回答でした。

 

これ、メチャクチャな言い分です。確かに、入退去コストはオーナー次第で変動します。ただ、「0」ではありませんし、むしろ、かなり高いウェイトを占めます。

 

入退去コストは収益計算を行う上で、必ず考慮しなければなりません。

 

おおよそ、年間賃料収入の10%~15%が入退去コストと考えておいた方が無難です。これをシミュレーションに含めないのは、無謀です。

 

コアプラスの収益計算エクセルでは、この入退去コストまでもが見える化された収益シミュレーションを算出する事が可能です。

 

仲介業者さんも、こんな価格で精度が高い収益シミュレーションが出回ってしまうのは商売上がったりだと思います。

 

草食業者さんも「コアプラスですか。。。」と苦虫を噛み潰したような表情を浮かべていたのは記憶に新しいです。

 

あわせて読みたい 指値交渉の末に

 

「指値交渉の末に」の結末で草食業者さんが「数値を見ていたら不動産は買えない」と話していましたが、逆です。「数値を見ずして不動産は買ってはいけない」のです。

 

さて、話を戻します。

 

収益計算上、仲介業者さんが含める事を避けたがる入退去の費用計算について、以下にサンプルをまとめてみました。

 

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どうでしょう?敷金や礼金があれば、ある程度入退去コストは相殺できますが、現在の市況だとこの程度は見込んでおく必要だと考えます。

 

フリートレントまで考えると、入退去費用だけで経費率は15%を超えてしまいます。これが仲介業者さんが「オーナー次第」と言って隠している真実なのです。

 

後日ブログで書きますが、戸塚で突撃ヒアリングした貸付業者さんの話によれば、敷金・礼金が0円の物件が増えた事で、入居者の引っ越しに対するハードルが低くなっており、平均入居年数も年々短くなっているとの事。戸塚であれば、平均入居期間が2年~2年5ヶ月と非常に短くなってきています。

 

もちろん、入退去費用については、リフォーム費用もやり方次第でもっと抑える事ができるでしょうし、広告費もいらず、敷金礼金有りで入居付けができるかもしれません。物件を気に入ってもらえれば、平均入居年数も長くなります。

 

入退去費用の大小は、まさにオーナーの賃貸経営の腕の見せ所。この入退去コストがどの程度に抑えられるかが肝であると思います。そして入退去コストを抑える事ができるのが他物件との「差別化」なのです。

 

「差別化」ができていないと、空室率のみならず入退去コストとのダブルパンチをくらう事になってしまいます。場合によってはノックアウト(赤字)です。

 

投資指標

投資指標として、主に利用しているのは、以下の指標値です。いずれも賃料収入(インカムゲイン)の評価指標であり出口(キャピタルゲイン)は含んでいないのをご留意ください。

 

  • FCR(真の利回り)
  • DCR(借入償還余裕率)
  • K%(ローン定数)
  • イールドギャップ
  • CCR(自己資本比率))

それぞれの指標値の計算式はネットや書籍で調べてほしいのですが、イールドギャップについては「表面利回り(%)-融資金利(%)」という誤った記載が多いようです。

 

正しくは、「FCR(真の利回り)-K%(ローン定数)」となります。

 

これらの指標値、例えばイールドギャップであれば、2%以上の確保が望ましいなど、ネット情報や書籍では記載されてますが、私はあまり、それぞれの指標値の絶対値に重みは置いていません。

 

主に、購入候補物件の投資指標をそれぞれ算出し、横並びにする事で相対比較として利用しています。

 

投資指標について、詳しく記載があるのは以下の書籍です。計算式も正しく記載してあるのでエクセルで計算式を再現しておくと、以後、簡単に算出できるようになるのでお薦めです。

 

各種比率

経費率やローン返済比率も購入候補物件の比較感の中で利用することができます。

 

特にローン返済率は表面利回りベースと、FCRベースでそれぞれ出しておきましょう。

 

表面利回りベースで50%を切ると良い、という情報もありますが、それはそれで参考値とつつ、投資指標と同様に購入候補物件の相対比較で利用するのが良いと思います。

 

キャッシュフロー総額

結局、全てはこれに帰結すると言っても過言ではありません。

 

出口を迎えるタイミングまでの賃料による収入(インカムゲイン)と出口の売却益(キャピタルゲイン)の合算額がキャッシュフロー総額、総収益となります。

 

私の場合、投入した自己資金が年利10%運用で回った時のキャッシュフロー総額を超える事ができれば合格点と考えています。

 

以下、例えば自己資金500万円を年利10%で10年間複利運用できた場合の例である。

 

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キャッシュフロー総額(総収益)は税引き前で800万円弱となります。不動産投資は多額の借金を背負うので、この程度の目標は突破してほしいところです。

 

という事で、これまでの不動産投資の体験を元に得た経験を【物件の見極め方】として整理してみました。

 

今後も体験記の傍ら、拙いながらも不動産投資の情報を自分なりに整理できていけたらと思います。



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